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基礎知識基礎知識

公正証書の基礎知識

2012.03.27

公正証書とは

「公正証書」という言葉には複数の意味があるのですが、一般的な意味における公正証書とは、公証人が法律行為やその他私権に関する事実につき作成した文書をいいます。
若干くだいて言えば、契約の成立や一定の事実を公証人が当事者から聴き取り、それに基づいて作成される文書のことをいいます。
公正証書は比較的簡単に作成することができ、その効用も非常に高いものといえますが、実際に利用されている頻度は必ずしも多くないといわれています。 ここでは公正証書の活用方法を中心として公正証書について説明します。

公正証書の活用方法

公正証書を法律関係の円滑な処理に活用する主な方法として以下の三つを挙げることができます。
まず一つ目として、取引関係における相手方との契約内容を公正証書の形にしておくことで、万一相手方とトラブルや訴訟になった場合の有力な証拠を確保するという効果があります。
また二つ目として、貸金等の金銭債権に関する契約書を公正証書の形で作成し、これに「執行認諾文言」を付した場合には、この公正証書によって強制執行手続を行うことができる(民事執行法第22条第5号)ため、法律関係を形成する段階で公正証書を利用することで万一紛争となった場合の訴訟手続の手間やコストを節約することができるという効果があります。
三つ目としては、遺言書を公正証書の形で作成する公正証書遺言としての活用方法があります。公正証書遺言は自筆遺言証書に比べて様々な長所があるため、遺言書によって残された家族への負担を軽減しようとお考えの方は公正証書遺言を利用すべきといえます。なお、遺言書・公正証書遺言についての詳細は、弊事務所特設サイト「相続問題総合サイト」をご覧下さい。

公正証書の証拠としての活用

公正証書は万一法律上のトラブルが発生し、訴訟となってしまった場合に有力な証拠としての意味を持ちます。
公正証書が証拠として有力であるということには二つの意味があります。
まず一つ目として、民事訴訟法第228条第1項は、「文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。」と規定し、文書の内容が真実であるかどうかという「中身」の検討をする前提として、真実作成名義人によって作成された文書であると認められる文書でなければ証拠としてその価値が認められないこととしています(このことを文書成立の真正の問題といいます)。
ところが民事訴訟法第228条第2項は「文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。」と規定し(公証人は公務員に含まれます)、公正証書については上記文書成立の真正を認めることとしていますので、この点で一般の文書に比べて証拠としての価値が高いといえます。
また、実際の文書の内容の真実性という「中身」の問題についても、公証人の面前で当事者双方の意思を確認しながら作成される公正証書については、そこに記載されている内容について当事者双方の合意があったものと裁判官が心証形成することが多いといえますので、証拠の実質的価値の点でも公正証書は一般の文書に比べて有利といえます。
なお、証拠調べ手続を含む訴訟手続についての詳細は「民事訴訟(第一審)の基礎知識」をご覧下さい。

公正証書による強制執行

人にお金を貸したが返してもらえないような場合、当然お金を返してもらう権利があるはずですが、裁判所の手続によらず強引に相手からお金を奪うような行為に出ることは自力救済禁止のルールに反し認められません。
そのため、貸したお金を返してもらうためには裁判所を通じた強制執行手続をとることが必要となるのですが、強制執行手続を行うためには勝訴判決を得ることが原則として必要です。
しかし勝訴判決を得るためには裁判所に訴えを提起し、相手方の言い分に対する認否・反論等の弁論手続や証拠調べ手続を経る必要があり、時間と手間、コストを負担しなければなりません。
ところが、法律上の紛争が生じる前の段階で執行認諾文言付公正証書を作成しておくと、この公正証書は勝訴判決と同様に強制執行手続の根拠となり、訴訟手続を経て判決を得ることなく強制執行手続を行うことができるのです。
そのため、法律上の紛争が生じる前に、相手方との関係が良好な段階で執行認諾文言付公正証書を作成しておくことで簡易に債権回収を図ることが可能となるといえます(ただし執行認諾文言付公正証書は原則として金銭債権を目的とするものに限って強制執行の根拠となるということには注意が必要です)。
なお、債権回収のうちでも銀行預金に対して差押手続を行う場合の手続等については「銀行預金債権差押による債権回収」をご覧下さい。

公正証書の作成方法

公正証書は、公正証書作成の本人又は代理人が公証役場に出向き、公証人に対して作成してもらいたい文書の内容を伝え、それを文書化してもらうことで作成します。
その際、本人であること(法人にあっては法的資格のあること)を証明するため、個人の場合には印鑑証明書・自動車運転免許証等の本人確認書類を、法人の場合には資格証明書と実印を用意しておく必要があります。
公正証書として作成したい文書の内容については、事前にどのような内容とするか慎重に検討しておく必要があります。せっかく公正証書を作成したにも関わらず、重要な点の証拠とならない文書や強制執行を円滑に行えないという事態は避けたいものです。
公正証書の内容は重要な権利義務に関するものですから、法律の専門家である弁護士に文案の作成やチェックについて相談することをお勧めします。