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錯誤の規定がリニューアル~錯誤取消しと動機の錯誤の明文化

2015.04.03

民法の債権法改正に向けた動きが着々と進んでいます。
今回は,錯誤規定の改正について簡単に説明をしていきたいと思います。


現行民法の条文

ここで,現行民法の錯誤の条文をみてみましょう。

(錯誤)
第九十五条   意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

この条文は,①錯誤無効の要件として法律行為の要素に錯誤があったことが求められている点,②錯誤の効果が無効である点がポイントとなっていました。


改正後の民法の条文

これについて,民法の改正に関する要綱仮案では,以下のとおりと変更される案が記載されています。

(1) 意思表示は、次のいずれかの錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
ア 意思表示に対応する意思を欠くもの
イ 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反するもの
(2) (1)イの錯誤による意思表示の取消しは、当該事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。

錯誤無効から錯誤取消しへ

錯誤規定の改正点の1つに,錯誤が無効原因ではなく取消し原因となるという点があります。

そもそも,法律用語上,「無効」であれば,表意者だけでなく,誰でも無効であることを主張できることが原則です。しかしながら,最高裁は,原則として錯誤で意思表示をした者以外の者が無効を主張することはできないと判断しました。

そうなると,結局その効果は取消しに近いものとなるため、効果につき、取り消すことができるものとなると改正されることになりました。


動機の錯誤の取り込み

要綱仮案では、錯誤取消となる場合として2つの類型が規定されました。

1つは、従来の錯誤と同様に効果意思に欠ける場合です。そして今回は新たに,動機の錯誤の場合が規定されました。
ただし、動機の錯誤による意思表示の取消は、当該事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限りすることができるとされるとされました。
これは従来の最高裁の判例の立場を明文化したものです。

 

以上のとおり,錯誤の改正内容は,最高裁の判例の立場を立法化した改正といえます。