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ブログブログ

バランスが大事

2015.03.20

分かりやすい民法

前回のブログでは,法定利率の改正について取り上げました。

法定利率の改正は,「社会・経済の変化への対応を図る」との改正理念の現れに分類されるかと思います。

他方,今回の民法改正には,もう一つの大きな理念があります。それが,市民社会の基本法である民法を「市民にとって分かりやすいものにする」ことです。

後者の理念に基づき,基本原則に当たるものは出来るだけ明文化しようとの試みがなされています。

 

契約は自由だ!

契約締結の場面において自己決定権を有すること,日本が自由主義経済体制を採用していること等を背景として,私たちには,①契約を締結するかしないかの自由,②契約の相手方を選択する自由,③契約の内容決定の自由,④契約の方式の自由,があるとされます(契約自由の原則)。

直感的には,「そんなのあって当たり前じゃないか!」と感じる部分もありますが,世界中から届くニュースを見れば,それが当たり前ではないということを実感できます。

いずれにしても,「契約自由の原則」は,日本の民法の基礎にある考え方ですが,現行民法にはこれを明示した規定がありません。

そこで,今回の民法改正においては,現行民法上解釈によって認められている「契約自由の原則」の明文化が予定されています。

 

何でもかんでも自由なの?

もっとも,「契約自由の原則」があると言っても,何でもかんでも自由というわけにはいきません。そんな自由が許されてしまうと,私たちは日々の生活さえままならなくなってしまうでしょう。

そこで,「契約自由の原則」に対する制約として,当事者の一方が契約の締結を拒絶することができないことが法律上定められている場合があります(電気事業法第18条,水道法第15条,ガス事業法第16条など)。

また,国籍や職業等を理由に不当な差別的取扱いをした場合には,不法行為責任を負うことがあります。

何でもかんでも自由というわけではないのです。

 

 自由と正義

契約自由の原則は,契約における最も重要な基本原則である一方,自由であることが強調されすぎると,強者に一方的に有利な契約内容になるなど,弱者の利益が不当に害されるおそれが生じます。

そこで,今回の改正にあたっては,契約自由の原則にも制約があることも併せて規定する方向で検討が進められています

具体的には,民法の改正に関する要綱案「第26 契約に関する基本原則」に,以下の記載があります

 

1 契約自由の原則

契約自由の原則について,次のような規律を設けるものとする。

(1) 何人も,法令に特別の定めがある場合を除き,契約をするかどうかを自由に決定することができる。

(2) 契約の成立には,法令に特別の定めがある場合を除き,書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

(3) 契約の当事者は,法令の制限内において,契約の内容を自由に決定することができる。

 

 書面の作成はいらないの?

上記(2)を読んで,「契約は,契約書などの作成によって初めて拘束力を持つんじゃないの?」と思われた方がいらっしゃるかもしれません。

しかし,現行民法においては,原則として,契約は当事者の合意だけで成立し,特別の方式は必要ではない(諾成主義の原則)と解されています。

もっとも,「原則」という位ですから,もちろん例外や制限も存在します(「保証契約は,書面でしなければ,その効力を生じない。」とする民法446条2項等)。

契約がいつ成立するのかについては,「契約の成立」に関する民法の改正に関する要綱案と一緒に,また回を改めてご紹介できればと思います。

 

                                                   弁護士 長谷正宏