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2017/03/01 日比谷ステーション法律事務所の弁護士名を騙った詐欺にご注意ください
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子どもがオンラインゲームで課金アイテムを購入した場合~アイテムを返せば返金してもらえるのか?~

2014.07.06

gamewatch

私が子どもの頃の一番古い記憶にあるゲーム機といえば「ゲームウォッチ」であり、その後「ファミコン」、「ディスクシステム」、「ゲームボーイ」や「スーパーファミコン」

などとゲーム機の進化は続いていきました。

今ではゲーム機は若干下火なった感があり、今一番ユーザー数で多いのは携帯電話やスマホでプレイできるオンラインゲームだと考えられます。

オンラインゲームで有名なものとしてはGungHo(ガンホー)の「パズドラ」などがありますね。

オンラインゲームに関する未成年トラブル

 大人気のオンラインゲーム、当然未成年の子どももプレイするわけですが、オンラインゲームの課金アイテムなどお金が関わるところでは多くのトラブルが発生しています。

未成年とオンラインゲームを巡るトラブルにはいくつかの代表的な類型があるのですが、本日は「未成年の子どもがオンラインゲーム中の課金アイテムを親の同意なく購入してしまった場合」に絞ってお話しします。

未成年の子どもが課金アイテムを購入した場合~原則として契約を取り消すことができる~

 民法第5条は第1項で「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」と規定するとともに第2項で「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。」と規定していますので、未成年の子どもが親の同意を得ないで勝手に課金アイテムを購入した場合には、この民法第5条を根拠として親は契約を取り消すことができます。

親が契約取消権を行使した場合、民法第121条に「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。」と規定されていることから、未成年の子どもが課金アイテムを購入する行為は当初に遡って存在しなかったものと扱われますので、課金アイテムの料金を請求されることはなく、もし既に課金アイテムの料金を支払ってしまっている場合には返金請求を行い返してもらうことが可能です。

年齢確認画面によっては未成年であることを理由に契約を取り消すことができない場合も

上述のように、未成年者が親の同意なく行った法律行為は取り消すことができるのが原則ですが、この制度には例外があります。

民法第21条は「制限行為能力者が相手方に能力者たることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。」と規定しています。民法という法律を勉強したことがない人には一見意味が分かりにくいかもしれませんが、「制限行為能力者」とは未成年が親の同意を得ないと有効に契約を結ぶことができないように自分だけでは有効な法律行為をすることが認められていないカテゴリーの人を指します。また「詐術」とは、積極的にうそをついて相手を騙すような行為だけではなく、成年者であると相手方に誤信させるような態度等も含む可能性のある比較的広い概念として理解されています。

そのため、オンラインゲームの登録や課金アイテム購入時に年齢確認画面が用意されていて、「あなたは20歳以上ですか?」との質問に対し「はい」と回答した場合、未成年の子どもが「詐術」を用いたとして取消権を行使できなくなる可能性もあります。

もっとも、未成年者のそうした行為が「詐術」に該当すると裁判所が判断するかどうかはかなり微妙なところもあり、オンラインゲーム事業者が未成年者からの取消権行使を極力避けたいと考える場合には、上記のように単に「あなたは20歳以上ですか?」との年齢確認画面を用意するだけでは備えとして不十分だと考えられます。経済産業省が公表している「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」でも「単に「成年ですか」との問いに「はい」のボタンをクリックさせる場合」については「取り消すことができると思われる例」として挙げられています。

オンラインゲーム事業者の立場から未成年者による取消権行使を極力避けたいと考える場合には、年齢確認画面で「あなたの年齢(又は生年月日)を入力して下さい」としてユーザーに自分で年齢を 入力してもらう方法をとるべきです。このような年齢確認方法を採用することで、単に「あなたは20歳以上ですか?」との質問のみを用意していた場合に比べて未成年者による「詐術」該当性が上がりますので、未成年者側から取消権を行使される可能性は下がることになります。

契約を取り消した場合ゲームアイテムは返さなければいけないか?

 さて未成年の子どもが課金アイテム購入契約を取り消した場合、アイテム購入契約は当初からなかったものと扱われますので、ゲーム事業者は料金を請求できない・既に受領している場合には返金しなければなりませんが、未成年の子どもは購入したアイテムを返さなければならないのでしょうか?返さなければいけないとした場合アイテムが消耗品の場合はどうなるのでしょうか?

取消権の法律効果について規定する民法第121条には「ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。」と定めています。この意味を簡単に言うと、「返せるものが手元に残っている場合には返しなさい。」というものですので、アイテムがまだ残っている場合には返還する必要があります。

もちろんアイテムと言ってもデータに過ぎませんので、実際には当該アイテムデータを削除するか使用できないような扱いをゲーム事業者側で行うということになります。

他方アイテムが消耗品で既に使い切っていたような場合、上記の民法121条のただし書きにより、返せるものがないので未成年の子ども側は何もしなくてよいということになります。ゲーム事業者側からすると少し釈然としない気持ちになるかもしれませんが、未成年者の保護の観点から法律はこのような扱いをとっています。

オンラインゲーム事業者は未成年者トラブルに限らず多くの法律問題に直面しており、適用される法律も多岐にわたりますので、常に最新の法律や経済産業省や総務省が公表する準則・ガイドラインに注意する必要がありますね。なかなか大変なことではありますが・・・。