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上場企業で広がる所在不明株主の株式売却制度の利用

2014.01.31

昨年の後半頃から、上場企業の間で長期間所在が不明な株主の株式を会社が売却する動きが広がっています。日経新聞の記事によると、東芝や阪急阪神ホールディングス、サッポロホールディングスなどの大手上場企業が次々と株式売却手続を開始しているとのことです。

多くの上場企業には住所変更の事実を届け出ていない株主などの所在不明な株主が多数存在することが通常ですが、そのような所在不明の株主であっても株主であることには変わりありませんので、会社としては株主総会や剰余金配当の場面において株主としての権利を行使することができるよう適切に管理する必要が生じます。しかし、所在不明株主の株式を管理するためにもコストがかかるため、このようなコストを削減するための制度として所在不明株主の株式を売却する制度が会社法上用意されています。

所在不明株主の株式売却の制度とは?

それでは会社が所在不明株主の株式を売却する制度とはどのようなものなのでしょうか。

 図示(所在不明株主の株式売却)

株式会社は、次の2つの条件を満たす株主の保有する株式を競売又は売却することが会社法によって認められています。

  1. 株主名簿に記載された住所に対する通知・催告が5年以上継続して到達しない株主
  2. 5年以上継続して剰余金の配当を受領していない株主

 上記の条件を満たす所在不明株主の株式については、3か月以上の異議申述期間をもうけて公告を行い、この期間内に異議が述べられなければ会社は競売又は市場価格での売却等によって当該株式を処分することができます。

会社は株式の売却代金を株主に交付する義務がありますが、交付すべき株主の所在は不明であるため代金を法務局に供託することで交付義務を免れることが可能となっています。

所在不明株主は自分の株式の売却代金を受け取る権利が10年間は存続します。

同族会社等の非上場会社で株式売却制度を利用する場合

上場会社が株式売却制度を利用する場合、上場会社の株式は市場価格で売却することが認められていますので同制度を利用しやすいと言えますが、同族会社等の非上場会社であっても株主の死亡や所在不明といった事態に対応するために株式売却制度を利用するニーズがあるといえます。 非上場会社が株式売却制度を利用して競売以外の方法で株式を売却する場合、裁判所の許可を得ることで同制度を利用することができます。 この場合、会社の本店所在地を管轄する地方裁判所に対して株式売却許可申立の手続を行うことになります。

 

以下に所在不明株主の株式売却制度に関連する会社法の条文を挙げておきますのでご参照下さい。

※参照条文

<会社法第196条>

1 株式会社が株主に対してする通知又は催告が5年以上継続して到達しない場合には、株式会社は、当該株主に対する通知又は催告をすることを要しない。

2 前項の場合には、同項の株主に対する株式会社の義務の履行を行う場所は、株式会社の住所地とする。

3 前2項の規定は、登録株式質権者について準用する。

<会社法第197条>

1 株式会社は、次のいずれにも該当する株式を競売し、かつ、その代金をその株式の株主に交付することができる。

 (1)その株式の株主に対して前条第1項又は第294条第2項の規定により通知及び催告をすることを要しないもの

 (2)その株式の株主が継続して5年間剰余金の配当を受領しなかったもの 2 株式会社は、前項の規定による競売に代えて、市場価格のある同項の株式については市場価格として法務省令で定める方法により算定される額をもって、市場価格のない同項の株式については裁判所の許可を得て競売以外の方法により、これを売却することができる。この場合において、当該許可の申立ては、取締役が2人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。

3 株式会社は、前項の規定により売却する株式の全部又は一部を買い取ることができる。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

 (1)買い取る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)

 (2)前号の株式の買取りをするのと引き換えに交付する金銭の総額

4 取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。 5 第1項及び第2項の規定にかかわらず、登録株式質権者がある場合には、当該登録株式質権者が次のいずれにも該当する者であるときに限り、株式会社は、第1項の規定による競売又は第2項の規定による売却をすることができる。

 (1)第196条第3項において準用する同条第1項の規定により通知又は催告をすることを要しない者

 (2)継続して5年間第154条第1項の規定により受領することができる剰余金の配当を受領しなかった者

<会社法第198条>

1 前条第1項の規定による競売又は同条第2項の規定による売却をする場合には、株式会社は、同条第1項の株式の株主その他利害関係人が一定の期間内に異議を述べることができる旨その他法務省令で定める事項を公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、当該期間は、3箇月を下ることができない。 (第2項~第5項は省略)