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基礎知識基礎知識

民事訴訟(第一審)の基礎知識

2012.03.27

民事訴訟とは

訴訟とは、国家機関が紛争や利害の衝突を公権力を行使して強制的に解決、調整するための法的手続をいい、そのうち民事訴訟とは私的な生活関係に関する紛争を対象とするものをいいます。
もっとも民事訴訟と一口に言っても、貸したお金を返してもらいたい(金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟)、商品代金を前払いしたのに商品が送られてこないので商品の引渡を求めたい(売買契約に基づく目的物引渡請求訴訟)、不当解雇されたので従業員としての地位を確認したい(労働契約上の地位確認訴訟)、婚約を一方的に破棄されたので慰謝料を請求したい(婚約不履行に基づく損害賠償請求訴訟)などその類型には様々なバリエーションがあり、その守備範囲は広範だといえます。
民事訴訟はそれぞれの類型ごとに手続の進め方や注意点で異なる部分はありますが、以下では多くの類型にあてはまる一般的な民事訴訟手続の概要をご説明致します。
なお、訴えを提起する前の段階において、「訴訟による解決が最善の方法かどうか」、「他の手続による解決は望めないのか」、「訴訟で勝訴することができるか」、「訴え提起前にやっておくべき手続はないか」など、慎重に検討しておくべき事項は多数あります。
これら訴え提起前の検討事項について詳しく知りたい方は、「訴えを提起する前に」をご覧下さい。

民事訴訟手続の概要

訴え提起

民事訴訟は訴状を裁判所に提出して訴えを提起する(民訴法第133条第1項)ところから手続が始まります。
訴状には法律や規則で定められた事項を記載する必要があります(民事訴訟法第133条第2項、民事訴訟規則第53条第1項、第2項)。
訴状に記載すべき事項としては、原告及び被告が特定の人物(法人を含みます)であることを示すのに十分な事項(氏名・住所等)、訴えによって求める審判内容の簡潔かつ確定的な表示である「請求の趣旨」、請求の趣旨と相まって請求を特定する事項である「請求の原因」、その他請求を理由付ける事実やそれにつき被告が争うことによって争点化することが予想される事由及びこれに関する重要な間接事実などが挙げられます。
なお請求の趣旨を記載するに際しては、訴訟費用を被告の負担とする旨や請求内容によっては仮執行宣言を求める旨も記載するべきといえます(仮執行宣言を付した判決は確定の前であっても債務名義となり強制執行の根拠となります)。
訴え提起する際には法律や規則により、訴状に添付を義務付けられている書類もあります。
例えば不動産に関する事件であれば当該不動産の登記事項証明書が必要ですし(民事訴訟規則第55条第1項第1号)、当事者が法人の場合には資格証明書が必要です。
また、訴状には立証を要する事由につき証拠となるべき文書の写しで重要なものを添付することも義務付けられています(民事訴訟規則第55条第2項)。

訴状審査

裁判所に訴状が提出され受理されると、裁判官が訴状の必要的記載事項の有無や印紙に不足がないか等を調査し、これらに不備があれば補正命令が出され(民事訴訟法第137条第1項)、もし不備を補正しない場合には訴状が却下されることと定められています(民事訴訟法第137条第2項)。
もっとも実務の運用上は、補正命令を出すまでもなく裁判所書記官を通じての補正の促しに当事者が応じる形で補正することが多いといえます。
訴状が正式に受理されると、事件番号(例えば「平成24年(わ)第1001号 貸金返還請求事件」のような符号)が付されます。

第1回口頭弁論期日の調整

原告が提出した訴状が陳述され、第1回口頭弁論期日は開始されます。もっとも「訴状の陳述」といっても、原告は訴状の記載を実際に読み上げる必要はなく、「訴状のとおり陳述します。」と述べるだけで足ります(裁判官によっては「訴状のとおり陳述しますか。」と質問してきますので「はい陳述します。」と答えるだけで足りることもあります)。
被告から答弁書(訴状に記載された原告の請求に対する認否や被告の言い分を記載した書面)が提出されている場合には、被告は法廷に出席しなくても答弁書を陳述したものと扱ってもらうことが可能です(これを陳述擬制といいます)が、他方で被告が出廷せず、事前に答弁書を提出して原告の請求を争うこともしない場合には、裁判所は弁論を即日結審し判決調書を作成することもできます(民事訴訟法第254条第1項、同第2項)。

口頭弁論期日又は弁論準備期日

法的主張と争点の整理

原告と被告双方から準備書面の提出を受け、準備書面をもとに法的主張と事実に関する主張を整理し、当事者間の争点を整理していきます。
民事訴訟では弁論主義という考え方の適用があるため、当事者間に争いがない事実については、裁判所は仮に真実と異なることを知っている場合であっても、その事実が真実であるとの前提で訴訟手続を進め判決を行うこととなっています。

証拠調べ

当事者が主張する事実が原告の請求する権利の有無やその内容を判断する上で必要な場合、その事実の有無について証拠調べを行います。
なお民事訴訟においては書証(証拠が文書の形をとるもの)が最も主要なものとなりますが、書証を証拠として請求する際にはその写しと証拠説明書(文書の標目や作成者、立証趣旨を明らかにするための書面)を提出する必要があります。

裁判上の和解

口頭弁論期日や弁論準備期日を進めていく中で、裁判官からの和解勧試や当事者からの自発的な和解提案がなされる場合もあります。訴訟途中での和解の中でも訴訟手続の外で行う訴外和解と、裁判手続の中で裁判所が関与して行う裁判上の和解とがあります。和解する場合にどちらの方式を選ぶかは状況次第ですが、裁判上の和解は和解内容を調書に記載したときは確定判決と同一の効力を持ちますので(民事訴訟法第267条)、紛争を終局的に解決する観点からは裁判上の和解を選択すべきといえます。

口頭弁論の終結

裁判所が判決をするのに熟したと考えた場合、口頭弁論による審理手続は終結し、裁判所は判決言渡期日を指定します。後述するように判決言渡期日には出廷しなくても法律上問題ありませんので、判決言渡し期日の調整は特に当事者の都合を聞かれず裁判所のスケジュールによって決められることとなります。

判決の言渡し

判決は言渡しによってその効力を生じます(民事訴訟法第250条)。
判決の言渡し期日は訴訟当事者が出席しなくても開くことが可能なため(民事訴訟法第251条第2項)、多くの場合判決言渡し期日は当事者不在で行われます。
判決の内容を早く知りたい場合には、訴訟係属している担当部の書記官室に判決言渡し時刻から少し間をおいてから電話し「判決主文を教えて下さい。」と問い合わせることで判決内容を知ることができます。

判決の確定又は控訴

言い渡された判決は、控訴されることなく控訴期間が満了した時に確定し(民事訴訟法第116条第1項)、以後原則として当事者は判決主文の内容を蒸し返して争うことはできなくなります。
判決内容に不服がある当事者は、判決書の送達を受けた日から2週間以内に控訴を提起することができ、控訴が提起された場合には判決は確定せず、事件は上級審である控訴審に移審します。

請求認容判決(勝訴判決)を取得したら

勝訴判決を得ても自動的に判決内容が実現されるわけではありません(判決によって法律関係が形成されるものを除く)。
判決の内容を実現するためには仮執行宣言に基づいて又は確定判決に基づいて別途強制執行手続をとることが必要です。
強制執行のなかで代表的なものは金銭債権に対する差押えですが、その中でも特に多く利用されるのが銀行預金債権の差押えです。銀行預金債権の差押えについての詳しい説明は「銀行預金債権差押による債権回収」をご覧下さい。