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基礎知識基礎知識

訴えを提起する前に

2012.03.27

訴え提起前の検討の重要性

当事者間で私的な権利についてトラブルが発生した場合、最終的には裁判所による訴訟手続での解決を図ることとなりますが、常に訴訟が最良の解決手段というわけではありません。
また最終的に訴訟手続による解決を図る場合であっても、「事前に権利の保全をしておく必要がないか」、「証拠は十分か」、「勝訴した場合に相手に対する権利行使の現実性はあるか」、「もっと解決に適した手段はないか」といった事項を確認しておく必要があるといえます。
以下では訴えを提起して訴訟手続を開始する前に検討しておくべき事項を紹介致します。
なお訴訟手続の概要等についての説明は「民事訴訟(第一審)の基礎知識」をご覧下さい。

訴えを提起する前の検討事項

証拠の吟味

当事者双方の言い分に食い違いがあり、判決を下すために必要な事実に争いがある場合には、裁判所は証拠によって当該事実の有無を判断します。
そのため訴え提起前にご相談頂く際には、お手元の関係書類一式(相談後に追加で書類等を探して頂く場合もあります)をお持ち頂き、証拠として有用かどうかの吟味をしながら訴訟の見通しをアドバイス致します。
特に一度訴訟を提起して請求が棄却されてしまった場合、既判力という法律上の効力が生じ、再び同じ請求について訴えを提起することができなくなってしまいますので、訴え提起の前には十分な証拠の吟味を行い、勝訴の見込みがあることを確認する必要があるといえます。
証拠吟味の結果、訴訟をすることでかえって依頼者に不利益な結果をもたらしかねない場合には、訴訟以外の紛争解決方法(例えば交渉手続)をご提案することもあります。

他の紛争解決手段の検討

民事訴訟で解決する余地のある法律問題であっても、訴訟による解決よりも依頼者のニーズに合致した解決方法がある場合、当事務所では他の紛争解決手段もご提案致します。
他の紛争解決手段としては、弁護士が窓口となっての交渉(相手方と交渉を行い、和解により紛争を解決します)、調停手続(裁判所が当事者の間に入り権利関係の調整を行います)、支払督促手続(裁判所を利用して比較的簡易に強制執行手続を実現します)などが挙げられます。
このうち交渉については、当事者間に事実関係についての争いがない場合や訴訟提起による有利な解決が期待できない場合、相手方との今後の関係を円満に維持したい場合などに利用することが多いといえます。交渉がまとまった場合の和解書作成については弁護士が作成することで事後的に紛争が蒸し返されたり内容に疑義が生じないようにすることが可能です。また当事務所では和解書作成にあたって公正証書を活用することもご提案しておりますが、公正証書作成に際しては弁護士のサポートやアドバイスが特に重要となります(公正証書についての詳細は「公正証書の基礎知識」をご覧下さい)。
調停手続は、交渉の場合と同様に相手方との今後の関係を円満に維持したい場合や交渉では話し合いがまとまらない場合に裁判所の助力を得て法律関係の調整を行いたい場合に利用します。
支払督促手続は、当事者間に事実関係に争いはなく訴訟を提起すれば勝訴することも可能であり、迅速に手続を終了させたい場合などに多く利用します。支払督促は訴訟に比べて裁判所に納める手数料も安く(原則として半額です)、手続も簡易ですが、相手方が手続に異議を申し立てた場合には訴訟手続に移行することとなるため、訴訟となることも視野に入れて利用する必要があります(支払督促手続についての詳細は「支払督促を利用した債権回収」をご覧下さい)。
法律問題をどのような手続で解決するかは依頼者の事情やニーズによって様々といえますので、まずは弁護士にご相談下さい。

仮差押の検討

訴えを提起して訴訟手続を行い、苦労の末に勝訴判決を取得したとしても、その間に被告が所有する土地を他人名義に登記移転している場合や銀行預金を引き出して財産が散逸してしまう場合などがあり、こうなると判決で被告に対する権利の存在は認められるものの、判決内容の実現が困難になることがあります。
そのため、訴訟提起の前に相手方の財産状態を固定し保全することも検討する必要があります。
その手段としては仮差押手続があり、仮差押手続は債権回収の場面において非常に重要な役割を担っています。
仮差押手続についての詳しい説明は「債権回収における仮差押の重要性」をご覧下さい。

相手方の資力の確認

訴訟で勝訴判決を得る見込みが十分ある場合であっても、訴訟提起前には相手方の財産状況・支払能力等の資力を検討する必要があります。
なぜなら、勝訴判決を得てもそれだけで判決で認められた権利の実現が図れるわけではなく、相手方が判決に従わない場合には、権利を実現するために勝訴判決に基づいて相手方の財産に強制執行を行うことが必要となるためです。
相手方に不動産のような財産がある場合には資力に問題はないかもしれませんが、そうでない場合には給料や銀行預金等の金銭債権を差し押さえる等の手続が必要です(銀行預金債権に対する差押手続の詳細については「銀行預金債権差押による債権回収」をご覧下さい)。
勝訴しても相手方に全く資力がない場合や財産の所在を知り得ない場合には、勝訴判決も「画に描いた餅」となってしまうことがあるため、相手方の資力や財産状況の検討は訴訟提起前に検討すべき重要事項であるといえます。