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マイナンバーで個人情報が会社に筒抜けに??

2015.12.16

1 はじめに

 平成27年10月からマイナンバーの通知が開始され,マイナンバー制度をかなり身近に感じるようになってきた今日この頃ではないでしょうか。気づけば,平成28年1月のマイナンバー制度の利用開始まで,既に1か月を切っています。

 マイナンバー制度の利用開始が近づくにつれ,ある程度制度の周知も進んできたようにも思いますが,未だに「マイナンバー制度が開始することによって副業が勤務先にばれてしまうのではないか」「自分の個人情報が勤務先に筒抜けになってしまうのではないか」というような質問を頂戴することがあります。

 そこで,今回は,マイナンバー制度についてブログを書かせていただこうと思います。

 

2 そもそもマイナンバーとは

 マイナンバーとは,日本に住民票を有する全ての人(中長期在留者や特別永住者等の外国人も含む。)に対し,市町村長が指定する12桁の番号のことをいいます。

 マイナンバー制度には,以下の3つのメリットがあるとされています。

 1つ目は,行政の効率化です。行政機関における複数の業務の間での連携が進み,作業の重複などのムダが削減される効果が期待されています。

 2つ目は,国民の利便性の向上です。税の確定申告や医療保険の給付請求等において,添付書類が削減されること等により,行政手続が簡素化される効果が期待されています。また,平成29年1月からは「マイポータル」というサイトの運用開始が予定されており,当該サイトにおいて,一人ひとりに合った行政サービスの情報提供をすること等が検討されています。

 3つ目は,公平・公正な社会の実現です。行政機関において,所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため,脱税や不正受給を防止すると共に,社会的弱者にきめ細やかな支援を行うことができるようになることが期待されています。

 以上の3つのメリットからも明らかなとおり,マイナンバー制度は,社会保障,税,災害対策の3分野で特に意義があるとされています。いずれの分野においても,マイナンバーがなくともこれまで生活に支障はなかったことから,メリットがあると言われてもピンとこない人の方が多いのではないでしょうか。

 国民の利便性の向上というメリットも挙げられてはいるものの,マイナンバー制度の利用開始によって主としてメリットを享受するのは,行政機関の側ということができるでしょう。

 

3 マイナンバー制度によって個人情報が勤務先に筒抜けに?

 ここで本題に戻りますが,冒頭にも記載したとおり,マイナンバー制度が開始されるに伴い,「副業が勤務先にばれてしまうのではないか」「個人情報が勤務先に筒抜けになってしまうのではないか」と心配されている方が稀にいらっしゃいます。

 しかしながら,結論から申し上げるならば,あくまで現行制度を前提とする限り,マイナンバー制度の開始によって直ちにそのような事態に陥るということはないと言って良いでしょう。

 例えば,平成30年を目途に預貯金口座へのマイナンバーの付番が始まる予定であるところ(なお,そもそも預貯金口座へのマイナンバーの付番は義務ではなく任意です。),上記のような心配をされている方は,行政機関が収集した預貯金口座の情報に,勤務先の担当者も自由にアクセスできると考えていらっしゃるのかもしれません。しかしながら,マイナンバーをそのように活用することは法律上認められておらず,あらゆる個人情報が勤務先に筒抜けになってしまうというようなことはありません。

 また,副業という点に関しても,住民税の税額等は給与支払者(勤務先)を経由して通知されるところ,現在でもこの通知書に前年の給与収入合計額が記載されていることから,勤務先の会社が支払った給与額との比較で副業を行っている事実は判明し得るのであって,マイナンバー制度の開始という一事をもって,新たに副業を行っている事実が判明してしまうということはありません。

 これまで以上に個人情報が紐付けられることにより,万一情報漏洩した場合のリスクはこれまでよりも増すことは確かですが,マイナンバーの利用範囲は法律によって厳しく限定されていますので,過剰な心配は杞憂に終わるのではないかと思います。 

 

4 補足 ~個人番号カードを身分証代わりに?~

 希望者は,申請手続をすれば個人番号カードというICカードの交付を受けることができます。

 個人番号カードには氏名,住所,生年月日,性別と顔写真が記載されており,身分証としても利用することができます。運転免許をそもそも持っていない人や,免許を返納してしまった人にとっては,身分証として便利に使えることでしょう。

 しかしながら,個人番号カードの裏面にはマイナンバーが記載されています。落としてしまったりした場合,第三者の成りすまし被害に遭う危険は容易に想像されるところです。ただ,第三者がマイナンバーを入手したところで,マイナンバーだけでどの程度のことを行えるかは現時点では不明であり,マイナンバーのみで行える手続がほとんどないのであればこの点についての心配も杞憂に終わるかもしれません。

 ただし,マイナンバーをむやみやたらに公表することは法律で禁止されていますので,マイナンバーの取扱いには十分注意すべきでしょう。

弁護士 鈴木晴哉