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まとまりました。

2015.06.26

今回は,「契約の成立」について,民法の改正に関する要綱(以下,「要綱」といいます。)を見ていこうと思います。

 

契約はどのようにして成立するの?

現行民法においては,原則として,契約は当事者の合意だけで成立し,特別の方式は必要ではない(諾成主義の原則)と解されています。

要綱では,「契約の成立には,法令に特別の定めがある場合を除き,書面の作成その他の方式を具備することを要しない。」との規定が提言されているところです。

 

契約はいつ成立するの?

契約は,当事者の合意,すなわち申込みと承諾が合致することによって成立することになります。

しかし,現行民法には,申込みと承諾によって契約が成立するという原則を明らかにした規定がありません。

そこで,要綱では,「契約は,契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。」との規定が提言されています。

では,契約が成立することになる「承諾をしたとき」とは,具体的にいつなのでしょうか?

 

到達主義と発信主義

現行民法においては,「隔地者に対する意思表示は,その通知が相手方に到達したときからその効力を生ずる」とされています(民法97条第1項。到達主義)。

*要綱では,「意思表示は,その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」と改正することが提言されています。

他方,現行民法526条第1項は,「隔地者間の契約は,承諾の通知を発したときに成立する」と規定しており,承諾の効力発生時期については,例外的に発信主義がとられています。

そうすると,「承諾をしたとき」とは,承諾の通知を発信したときということになります。

 

承諾の通知届いてませんけど・・・

契約の成立に関して発信主義を貫くと,承諾の通知が申込者に届かなかった場合にも契約が成立したことになりそうですが,申込者が知らないうちに契約が成立していたなんて不思議ではないですか?

この点については,現行法下でも様々な考え方がありますが,承諾の通知が不到達に終わっても,承諾の発信によって効力を生じた契約の効力には影響がない(契約は成立している)とするのが有力説だと言われています。

 

発信主義の背景

現行民法が制定された約120年前は,承諾の通知が申込者に届くまでに時間を要した時代であり,特に迅速性が求められる商取引においては承諾の発信と同時に契約を成立させること必要であると考えられていたようです。

しかし,通信手段が高度に多様化した今日では,承諾の通知が届かない可能性は低くなっており,また,発信から到達までの時間は短縮されています。そうすると,到達主義の原則に対する例外を設ける必要性が乏しいといえます。

すでに,電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例第4条は,電子契約の電子承諾通知について,民法の例外として到達主義を採用しています。

 

要綱の提言

そこで,要綱では,「民法第526条第1項を削除するものとする。」とされ,承諾の効力発生時期についても,原則どおり到達主義が採られています。

そうすると,「承諾をしたとき」とは,承諾の通知が申込者に到達したときということになり,契約は承諾の通知が申込者に到達したときに成立することになります。

 

やっぱり気が変わりました・・・

「いったん契約の申込みをしたんですが,その後やっぱり契約をするのをやめたくなったんですが・・・」

こんな時はどうなるのでしょうか?

これは「申込みの撤回」に関係する話になりそうですが,契約の成立について到達主義が採用されることにも関連して,要綱では申込みの撤回に関する規定についても新たな提言がされています。

この点については,次の機会にもう少し詳しくご紹介できればと思います。

 

弁護士 長谷正宏