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軽率な保証契約に歯止め~個人保証の新ルール

2015.04.14

 「親兄弟でも保証人にはなるな」と言われるように,保証人になることの危険性は常識になっているように思われます。しかしながら,保証契約によって想定外の債務を肩代わりすることになり,生活の破綻に追い込まれるケースは,決してまれではありません。

 保証契約については,親戚・友人関係から気安く引き受けてしまいがちな契約類型であるため,契約に際し慎重な対応を促すべく,平成16年の民法改正時に,書面で締結しなければならないというルールが設けられています。

 今回の民法改正では,個人の保証人の保護をさらに図るため,運転資金の借入れ等,事業のために負担する債務の保証について,次のようなルールが新設される見込みです。

 

保証契約の前に,公正証書を作る必要がある

 保証人となろうとする者は,保証契約の締結日の1か月以内に公正証書を作成し,保証債務を履行する意思を表示しなければならないとされます。この公正証書の作成は,公証役場に出向いた上,所定の方式を守って行わなければなりませんので,従来のように単に保証契約書に署名・押印するのと比べ,格段に手数がかかることになります。この公正証書を作らないと,保証契約は効力を生じないものとされます。

 ただし,法人の理事,取締役,執行役その他これらに準ずる者,法人以外の者で,債務者と共同して事業を行う者等については,例外的に,上記のように公正証書を作成せず,従来と同様の方法で保証契約を締結することができます。

 

保証契約締結時に,情報提供をする必要がある

 また,保証を受けてお金を借りる者は,保証人となろうとする者に対し,①財産及び収支の状況,②他に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況,③担保に関する情報を提供しなければならないとされます。

 この情報提供義務に違反があり,上記①~③の事項について保証人が誤認して保証契約を締結した場合,違反があったことを債権者が知り,または知ることができた場合には,保証人は,保証契約を取り消すことができるとされます。

 

実務への影響

 上記のルールが適用されると,従来のように印鑑一つで保証契約を締結するようなことはできなくなり,保証契約の内容について説明を受け,契約によるリスクを検討する機会が制度的に与えられることになります。これにより,軽率に保証人となった結果,思いもよらぬ多額の債務を負ってしまうというような悲惨なケースは相当減少するものと思われます。

 また,お金を貸す側の金融機関としても,保証契約が無効となったり,取り消されたりすることがないよう,より念入りな対応を迫られることになりますので,新しいルールが適用される者からの保証を敬遠し,結果として保証契約の件数自体が減ることも予想されています。

 このように,軽率な保証契約により生活を脅かされる個人が少なくなるのは歓迎すべきことです。他方で,担保のない中小・ベンチャー企業等の資金調達の支障とならないよう,金融機関の合理的な運用を期待するところです。

弁護士 宮澤 勇作