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自転車乗るなら保険に入ろう!~兵庫県条例で保険加入義務化が決定~

2015.03.25

兵庫県議会が自転車保険の強制加入制度を条例化

兵庫県議会は、平成27年3月18日、全国で初めて、自転車の購入者に保険の加入を義務づける条例案(「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」)を可決しました。同条例は、平成27年4月に公布され、同年10月1日に施行される見通しです。

これは、加害者である小学5年生の男児がスイミングスクールから自転車で帰宅途中に、当時62歳の女性に正面衝突して、同女性が重傷を負い植物状態になったという交通事故に関し、加害者の男児の母親に対して9500万円の損害賠償責任を認める判決が、平成25年7月4日に神戸地方裁判所で言い渡されたことを受け、保険加入が条例で義務づけられることになったものです。

なお、上記神戸地裁判決の事案はどのような事故であったのか、またどういう計算で損害が「9500万円」になったのか等については、当事務所の自転車事故サイト(→「「自転車事故で損害賠償金9500万円」の判決の衝撃」)をご参照ください。

兵庫県交通安全協会では、上記の条例案を受け、「ひょうごのけんみん自転車保険」を創設し、同保険の幹事引受会社には、損害保険ジャパン日本興亜株式会社が選定されることとなりました。

自転車は快適だけど…

(自転車は快適だけど…)

 

強制加入制度の導入は重要な第一歩

無保険状態で自転車が事故を起こすと、加害者に莫大な金額の損害賠償責任が発生する一方で、加害者に資力がなければ、被害者は十分な損害賠償金を受けることができず、場合によっては怪我の治療費さえ受け取ることもできず、非常に酷な立場に置かれます。

そして、近年の健康志向の影響で自転車利用者が増えたこともあり、自転車と歩行者の事故も着実に増加してきています。

そのため、自動車の自賠責保険と同様に、自転車利用者にも保険加入を義務づける制度を導入する必要性は、常に存在していました。

今回の兵庫県の条例は、前記の神戸地裁判決の影響もあり、自転車の強制保険加入制度を全国で初めて実現したものです。

しかし、自動車の自賠責保険と異なり、自転車は管理や取り締まりが困難であるという理由から、保険加入義務の違反に対する罰則は設けないこととされました。罰則のない強制加入義務の実効性については疑問がなくはないですが、努力義務ではなく、保険加入義務を明確な形で導入した兵庫県条例は、自転車事故の当事者救済のための重要な1歩であることに間違いはありません。

自転車は凶器にもなる

(自転車は凶器にもなる)

 

最後に

世の中から交通事故がなくなることが理想ですが、自転車は、便利な乗り物なので自転車自体がなくなることはしばらくは考えにくいですし、また人間が運転するものですので、運転ミスや注意不足はなくならないと思います。そのため、交通事故は現時点では不可避的に発生するものといわざるを得ないものです。

しかし、事故が発生しても、被害者が十分な損害賠償金を受け取ることができなければ、そのこと自体が被害者にとっては第二次的な被害といえます。

加害者となる自転車が保険に加入していれば、少なくとも、この被害者の第二次的な被害を最小限に食い止めることはできるはずですので、今後も、兵庫県条例のような自転車の強制加入制度が少しでも他の公共団体や国家レベルで波及してほしいと思います。

                                                弁護士 千葉 貴仁