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日本で代理母出産をすることは許されるか

2014.08.22

つい最近のはなしですが,日本人の大金持ちの男性がタイで複数の代理母と契約し,16人もの子どもをもうけたとされる騒動が話題になりました。

こんな騒動になってしまい,子ども達が今後どのように育てられていくのかが大変気になるところです。子ども達には健やかに育ってほしいものですね。

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そもそも代理母出産とは・・・

代理母出産とは,ある女性が別の女性に子供を引き渡す目的で妊娠・出産することをいいます。代理母には,夫の精子とその妻以外の女性の卵子を人工授精あるいは体外受精させ女性が子を分娩するものと,夫の精子とその妻の卵子を体外受精させた受精卵を妻以外の女性に移植し子を分娩させるものの2形態があります。

当初は,前者のみが行われていましたが,医学の発展に伴い,後者も多く行われるようになりました。特に発展がみられたのはアメリカで,1980年以降になると,商業ベースで広く実施されることとなりましたが,それとともに代理母を巡る訴訟トラブル(代理母が子の引き渡しを拒否する事件など)が相次いだため,各州で立法化が進められました。各州によって細かい違いはありますが,大別すると,代理母を一切認めないとする州と,一定の要件のもとであれば代理母を認める州とにわかれているようです。

代理母出産に関する法規制

日本では,平成15年4月に日本産婦人科協会が代理母を認めないとする会告「代理懐胎に関する見解」を公表し,また,厚生労働省厚生科学審議会生殖補助医療部会の最終報告書でも,代理母は禁止するとされました。これにより自主規制がなされており,日本国内では原則として実施されていません。

しかし,代理母出産をそのものを規制する法制度は現在まで未整備となっている状態ですので,代理母出産を行ったとしても何ら違法ではないということになります。

仮に日本で代理母出産が行われた場合,代理母が生まれた子の法律上の母となります。代理母を依頼した女性は,認知によっても親子関係を形成することができないため,親子関係を発生するためには養子縁組によるしか方法はありません。また,代理母が既婚者の場合には,生まれた子どもは代理母が婚姻中に懐胎した子として代理母の夫の子と推定される可能性が高いです。これに対して,代理母が未婚の場合には,父性推定は働かないため,代理母を依頼した男性が認知をすることは可能でしょう。

代理母出産には,倫理的問題や社会的問題が多く含まれています。法的には,代理母が子を分娩する結果,代理母と子との間に相続関係が生じることについてどう考えるか,という問題があります。

一刻も早く代理母出産に関する法制度が整備される必要があるように感じます。

代理母出産と戸籍

日本の代理母出産に関する有名な最高裁判例としては,プロレスラーの高田延彦さんとタレントの向井亜紀さん夫妻が代理母出産によって他人に産ませた子供との実親子関係の確認を求めた事案があります。

最高裁は,平成19年3月23日,自分の卵子を提供した場合でも,今の民法では母子関係の成立は認められないとして,夫妻との親子関係を認めない決定を出しました。

しかし,「遺伝的なつながりのある子を持ちたいという真摯な希望と,他の女性に出産を依頼することについての社会一般の倫理的感情を踏まえ,立法による速やかな対応が強く望まれる」として,法整備の必要性を指摘しました。

小活

このように,日本では代理母出産に関して法制度が整備されておらず,その結果として様々なひずみが発生してしまっています。最高裁が指摘するとおり,「不妊症などの事情で自分では子どもが産めないが子どもがほしい」という女性の気持ちに配慮した,適切な法整備がなされるといいと思います。