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離婚と年金分割

2014.06.18

W杯のコートジボワール戦,負けてしまいましたね。あまりのショックに呆然とする日々です。最後まで諦めず,ギリシャ戦とコロンビア戦を応援していきましょう。

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話はがらっと変わりますが,皆さんは,離婚時に厚生年金保険等の被用者年金を分割する「年金分割制度」をご存知でしょうか。

婚姻期間中に配偶者が年金の保険料を納付していた場合,離婚の際に当該年金を分割することができます。

年金分割の種類

年金分割の方法には,「合意分割制度」と「3号分割制度」の2種類があります。合意分割制度は,当事者からの請求により婚姻期間中の厚生年金の報酬比例部分を当事者間で分割する制度です。3号分割制度は,平成20年4月1日以降の国民年金の第3号被保険者(被扶養配偶者)であったものからの請求により,保険料を支払っていない第3号被保険者が第2号被保険者である夫の比例報酬部分の分割を受けることができる制度です。

年金分割の割合

離婚時年金分割における請求すべき按分割合を定めるにあたり,家庭裁判所は,当該対象期間における保険料納付等に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮するものとされています。しかし,その按分割合は,審判例によるとそのほとんどが2分の1とされています。家庭裁判所は,特別の事情がない限り,婚姻中の年金保険料の納付に対する互いの貢献を同等とみるのを原則と考えているようです。

この特別の事情として,別居を主張される方も多いのですが,長年別居をしていた事案でも年金分割の按分割合は2分の1となると判断する審判例がほとんどであり,別居していたことのみでは按分割合を左右する特別の事情には該当しないといえるようです。

年金分割の割合に関する近時の審判例

上記のとおり,年金分割の按分割合は原則として2分の1とされますが,東京家裁平成25年10月1日審判は,元夫から元妻に対して年金分割の按分割合を2分の1と定めるよう求めた審判において,① 婚姻期間中に元妻が元夫の多額の負債により家計のやりくりに苦労したこと,② 元夫の退職後には元妻の収入を主として家計が維持されていたこと,③ 元夫が退職前には相当額の収入を得ており退職金で上記負債を返済したこと,④ 元妻は婚姻期間の大部分を概ね専業主婦として生活しており,その間の生計は元夫の給与収入により維持されていたこと等の事情及びその他一切の事情を考慮し,元夫の年金分割の割合を30%としました。

上記のような事情が他の事件でも年金分割の按分割合を左右する「特別の事情」にあたるかどうかは検討を要するところですが,いずれにせよ,いかなる事情が「特別の事情」に該当するといえるのかについては,今後の審判例の蓄積を待つほかないようです。

結び

年金分割が制度として認められた背景には,離婚後の離婚当事者間の年金水準に格差が生じてはならない,公平を図るべきであるという理念があります。年金なんて大した金額ではないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,実際には平均的な年金の月額は夫婦あわせて20万円以上になることも多く,これを半分もらえるかどうかは離婚後の生活水準を大きく左右する問題です。離婚を検討されている方は,配偶者がいくらの年金の保険料を支払い,老後は月にいくら受給することが予想されるかなどについて確認しておく必要があります。