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ブログブログ

製造物責任法(PL法)の基礎知識

2014.05.27

カネボウ白斑事件の集団訴訟の募集を開始

 当事務所では、現在カネボウの美白化粧品を使用して白斑を発症した方を対象に集団訴訟の原告を募集しています。

カネボウに対する損害賠償訴訟では、主としてカネボウが製造・販売した美白化粧品は使用者に白斑を発症させる成分を含有していたものであり、肌を美しく保つことを期待される化粧品として欠陥品であったのだから、「欠陥品によって生じた被害を賠償して欲しいとの請求を行うことを予定しています。

上記のように、「欠陥品」に起因して生じた損害の賠償を求める方法には法律上いくつかの種類があるのですが、カネボウに対する訴訟では、「製造物責任法」に基づく損害賠償請求が主たる法的根拠となります。

製造物責任法(PL法)とは?

 製造物責任法については4月3日の当事務所のブログ「身の回りの『欠陥』商品」でも少し触れましたが、改めて簡単に説明したいと思います。

製造物責任法は、平成6年6月22日に成立し、平成7年7月1日から施行された法律です。

製造物責任法が施行される前、製造物の欠陥に関する法的問題は民法の不法行為や債務不履行といった形で争われることが多かったのですが、その場合製造者側に落ち度がない限り責任追及することができず、一般消費者が事業者の責任を追及することは難しい状況にありました。

しかし、消費者と事業者との情報力や組織力の格差に照らすと不公平ではないか、製品に欠陥がある場合には消費者が保護される必要があるのではないかといった消費者保護の思想が世界的に高まったこともあり、製造者の落ち度に関わらず「欠陥製品を製造した以上は原則として責任を負う」ことを内容とする製造物責任法が成立することとなりました。

ちなみに、製造物責任法のことを「PL法」と言うことがありますが、これは英語で製造物責任のことを「Product Liability」というため、両単語の頭文字をとって略したものです。

欠陥品というためには?

 製造物責任法に基づいて製造者に損害賠償を請求する場合、製造物に「欠陥」があることが必要です。

製造物責任法は、「この法律において『欠陥』とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。」(第2条第2項)と定めており、簡単に言い換えると「その種の製品として一般人が期待する安全性がないこと」を「欠陥」といいます。

 例えば、「とてもよく切れる包丁」は使用方法によっては人を傷つける可能性がありますので危険な製品ということもできますが、包丁という製品の特性上、よく切れることは危険と評価されるものではなくむしろ便利であると考えられますから、「欠陥」があるとはいえません。

「欠陥」は以下の三つの類型に分類されており、欠陥の有無を考える際の整理に役立てられています。

  1. 製造上の欠陥
  2. 設計上の欠陥
  3. 指示・警告上の欠陥

上記1.の「製造上の欠陥」とは、本来の設計仕様から逸脱してしまった不良品のことで、設計上どうしても一定の比率で発生するが、設計仕様に従ったそれ以外の製品には欠陥がない場合をいいます。

上記2.の「設計上の欠陥」とは、製品の設計そのものの欠陥であり、その設計に従って設計された製品はすべて欠陥があることになる場合をいいます。

上記3.の「指示・警告上の欠陥」とは、製品の使用(指示)説明書や警告表示が適切でなかったり欠けていたりする欠陥で、すべての製品について欠陥があることになる場合をいいます。

 

欠陥品の製造者が免責されることはあるのか?~開発危険の抗弁~

 製造物責任法は、「当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかった」ことを製造者が証明した場合には、製造者は賠償責任を免れると規定します(第4条第1号)。

製造者の免責を認めるこの制度のことを、法学の世界では「開発危険の抗弁」と呼びます。

 カネボウは既に審理が開始されている東京地方裁判所での裁判手続において上記開発危険の抗弁を主張し、カネボウが法的責任を免れるとの主張を行っており、カネボウに対する白斑被害の損害賠償請求訴訟すべてにおいて、この開発危険の抗弁が主たる争点となりそうです。

 開発危険の抗弁は当事務所での集団訴訟においても最重要な争点となる可能性があり、また説明すべき点も多いため、詳細な説明は後日アップする「製造物責任法(PL法)の基礎知識2」に回したいと思います。