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ブログブログ

道路交通法上の歩行者の義務~横断歩道を渡りましょう

2014.05.19

日本及びニューヨーク州弁護士の川勝明子です。

高速度走行機 vs 腕立て伏せをする人

2014年5月4日、日曜の早朝のオレゴン州ポートランドの道路上で、腕立て伏せをしていた男性(43歳)が自動車に轢かれて死亡したというニュースが伝えられました。その男性はその場で亡くなったそうです。なぜこの男性が車道で腕立て伏せをしていたのかその理由はまだ明らかになってはいません。他方で、運転者が薬やアルコールの影響下にあったとは認められないとのことです。[1]

[1]http://www.huffingtonpost.com/2014/05/06/naked-man-killed-portland_n_5272753.html

(PHOTO:CLIPART.COM)

(PHOTO:CLIPART.COM)

腕立て伏せをしていた男性は、自分の強さを見せたかったのでしょうか。しかし、車と戦って勝てるはずもありません。そして、車道を普通に走行していた運転手からすれば、車道に腕立て伏せをしている人がいることは予想外のことであり、男性を轢いてしまい図らずも加害者となってしまい、とても衝撃を受けたことでしょう。いつまたそのような人がいるかもしれないと思うと、今後、車道を安心して走行できないかもしれません。

しかし、車道と歩道の区別がある場合、歩行者は歩道を歩き、車両は車道を走るという通行区分を守らなければならないというのは常識ですから、車道に腕立て伏せをしている人がいることはおろか、車道に人がいることを想定して車道であってもゆっくり運転しなければならないというというのは、酷な要求です。そのようなことになれば、高速度走行機である車の円滑な運行を妨げ、あちこちで渋滞が起こってしまうでしょう。

そこで、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資するため、日本では、道路交通法上に様々なルールが定められていますので、前述のニュースをきっかけに道路交通法上の歩行者の義務について改めて見直してみました。

歩行者は歩道を歩きましょう

歩行者が車道を歩いてはならないという通行区分について、道交法10条2項で以下のように定められています。

  • 歩行者は、歩道と車道の区別がある道路においては、原則として歩道を通行しなければならない。(道交法10条2項参照)

次に、普段あまり意識されたことはないかもしれませんが、自動車と歩行者とが対面して通行するという、対面交通の定めがあります。

  • 歩道と車道の区別のない道路においては、路の右側端によって通行しなければならない(道交法10条1項)。

日本では、自動車と歩行者が同じく左側通行でしたが、自動車の交通量の増大に伴い交通事故の危険性が増加したことから、第二次世界大戦後に自動車と歩行者の対面交通が採用されたそうです。その際に、歩行者の通行区分も右側通行に変更されたそうです。(Wikipediaより)

横断するときは横断歩道を渡りましょう

次は、道路を横断する際のルールです。

  • 歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の付近においては、その横断歩道によって道路を横断しなければならない(道交法12条1項)
  • 歩行者は、交差点において道路標識等により斜めに道路を横断することができることとされている場合を除き、斜めに道路を横断してはならない(道交法12条1項)

みなさんは、急いでいるとき、少し先に横断歩道があってもそこまで行く余裕がなくて、左右を見て危険がなさそうであれば道路を横切ってしまう、ということはないでしょうか。ここには車両の方が道路を渡っている人の存在に気づいて減速してくれるだろうという期待もあるでしょう。

しかし、車両に乗っている運転者からの視点と歩行者からの視点は大きく異なります。運転していると、道路構造による死角や他車のつくる死角、車に乗ってしまうと見えなくなってしまう死角の存在で、歩行者に気づけないということがあります。また、車は高速で走行しておりすぐに停止できないため、歩行者に気づいて停止しようとしても手遅れになる場合があります。

ですから、左右を見て車がしばらく来ないようであれば、もしくは車が遠くに見えるだけであれば、車道を横断してしまおうという行為は、非常に危険なことです。また、ショートカットするために、斜めに横断してもいけません。

横断歩道は、その存在が数十メートル前から車道上に白線で目立つように描かれた大きなひし形マークで予告されるため、運転者に対し、その先に横断歩道があることに対する注意が喚起されます。ですから、急いでいるときでも横断歩道を渡るようにしましょう。

車の直前直後で横断をしないようにしましょう

  • 歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない(道交法13条1項本文)
  • ただし、横断歩道によって道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従って道路を横断するときはこの限りでない(道交法13条1項但書)

車両の直前・直後は、車の死角になりやすく、運転者が歩行者に気づかずに、急に前進、急にバックしたりしてきた際、歩行者は避けられないため、そこを横断する行為はきわめて危険な行為です。そのため歩行者は車両の直前又は直後で道路を横断してはなりません(ただし、横断歩道を渡る際や、青信号の場合などはそのような横断方法をしてもよいことになっています。)。

以上が、歩行者に課された主な義務です。

結び

街で、教えられたとおりの交通ルールを守ろうと、左右の安全を確認し手を挙げてきちんと横断歩道を横断している小学生を見かけるとほほえましくなります。みなさんも昔はそうだったはずだと思いますが、年を重ねるとそれが恥ずかしくもあり、面倒でもあり、だんだんおろそかになっているということはないでしょうか。交通ルールを知り、それを守ることは自分の身の安全を確保するために必要ですので、このブログを読んでくださったみなさんもこれを機会に交通ルールにより注意を向けてみていただけたらと思います。