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NMB48ファン「布教活動」のつもりでTV動画流出させ逮捕~TV動画流出の被害者はだれ?

2014.03.04

3月1日付のYOMIURI ONLINEのニュースからですが、アイドルグループ「NMB48」が出演するテレビ番組「NMBとまなぶくん」をファイル共有ソフト「Share(シェア)」を使いインターネット上に流したとして、大阪府警は2月28日、奈良市内の歯科技工士の男(53)を著作権法違反(公衆送信権の侵害)容疑で逮捕、送検したと発表しました。

逮捕された男はNMB48のファンで「布教活動のつもりで約3年前から約140本のライブ映像などを流した」と供述しているようです。

NMB48を世間に広めたいという気持ちがあふれ出てしまったわけですね。

見方によってはなかなかに熱心なファンとも言えます(?)。

しかし、やはりテレビ番組の無断流出はテレビ局にとって大変困ったことです。

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TV番組ビジネスの構造

 テレビ番組の動画が流出するとテレビ局はどうして困るのでしょうか?

もちろん年会費や月会費を支払わないと観ることができない登録型・課金型のテレビ番組の場合には、動画が流出してしまうとお金を払って番組を観る人がいなくなる可能性があるので困るということは理解できます。

ところが「NMBとまなぶくん」もそうですが、地上波放送のテレビ番組の多くにおいて、視聴者は番組を観るためのお金を払っているわけではありませんので(NHK料金は別ですが・・・)、動画が流出してもテレビ局に直接の収入ダウンが生じるわけではないのです。

無断流出でテレビ局が困るのは、テレビ番組ビジネスの構造と関係があります。

テレビ番組ビジネスは、

  1. 広告代理店がテレビ局からテレビ番組の放送枠をまとめて買う
  2. 広告主が広告代理店から細切れの放送枠を買う
  3. 広告主はコマーシャル映像を作成し、買った放送枠でコマーシャルを放映してもらう

という仕組みでできています。

つまり、テレビ局の収入源は広告代理店からの放送枠販売代金であり、そのお金の出所は広告主です。

広告主がコマーシャルを放映するための放送枠を買う目的は、テレビ番組と一緒に自社のコマーシャルを放映してもらうことで自社製品を宣伝することにあります。

そして、テレビ番組が流出してインターネット上で簡単に視聴できるようになると、おそらくは正規の放送でその番組を観る人は減りますから、広告主にとっての宣伝効果もダウンしてしまうでしょう。

 そうすると、広告主の立場からすれば「わざわざお金を払って放送枠を買っても無駄じゃないか!」ということになりますので、結果としてテレビ局の放送枠が売れなくなる恐れが出てくるのです。

もし「放送枠を買っても宣伝効果がない」という認識が広まってしまえば、テレビ局は主たる収入源を失いますので、民放テレビ局は潰れてしまうことになります。

TV番組動画流出の被害者は誰か?

冒頭のニュースで紹介したとおり、NMB48ファンの男性はテレビ番組動画を流出させたことで逮捕されていますが、一般的には動画流出行為の「被害者」は誰なのでしょうか?

テレビ番組ビジネスの構造に着目すると、わざわざお金を出して放送枠を買った広告主が損をしているという見方もできます。

また結果として放送枠が売れなくなる危険を負うテレビ局が被害者だという見方もできます。

しかし、この問いに対する法律的な回答は「法律上の被害者は番組の著作権者である」というものになります。

TV番組の著作権者は誰か?

「テレビ番組の著作権はテレビ局にあるんじゃないの?」

このように考える方も多いと思います。

しかし、テレビ番組の著作権が誰に帰属するかは、番組作成を巡る関係者間の契約や番組作成経緯によって色々なケースがあり、テレビ局が著作権者となる場合ももちろんありますが、それ以外にも「制作プロダクション」が著作権者となる場合、「広告代理店」が著作権者となる場合、「広告主」が著作権者となる場合などがあり、簡単には判断できないものであるといえます。

「NMBとまなぶくん」の著作権はテレビ局である関西テレビ(関西テレビ放送株式会社)に帰属しているようですが、これは制作プロダクションである株式会社メディアプルポの主要株主が関西テレビであるという背景事情も関係しているものと思われますので、当然にテレビ局に著作権が帰属するということを意味しません。

むしろ、テレビ局と制作プロダクションとの間で明確にテレビ局に著作権が帰属する取り決めをしていない場合には、制作プロダクションに番組の著作権が帰属すると判断される可能性が高いと思われます。

いずれにしろ、テレビ番組の著作権の帰属を巡っては過去にもトラブルが発生していますので、番組の企画・契約段階で十分な確認と検討が必要だと考えます。

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